扉の先に〜ゆりかごと内密出産〜
ドキュメンタリー/教養
FNSドキュメンタリー大賞・扉の先に〜ゆりかごと内密出産〜
ゆりかご開設から17年が経過した今、救われた命が自らの生い立ちと向き合い始めている。
12月2日 月曜 2:25 -3:20 仙台放送
熊本市にある慈恵病院は年間約1500人の赤ちゃんが誕生する産婦人科を中心とした医療機関だ。慈恵病院には日本国内の病院の中で唯一存在するものがある。親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」、いわゆる赤ちゃんポストである。慈恵病院が「赤ちゃんの遺棄・殺人を防ぎたい」と開設を表明し、熊本市が設置を許可して2007年5月に開設された。「ゆりかご」を定期的に検証している熊本市の専門部
会の発表によると2020年度までの預け入れは155人。多くの命が救われたとする評価の一方で、親の身元が分からない子どもは31人となっており、開設当初から指摘されていた「母親の匿名性」と「子どもの出自を知る権利」の両立は可能かという課題は立ちはだかったままだ。こうした中、開設から17年が経過し、初期に預け入れられた赤ちゃんは思春期を迎えており、救われた命が自らの生い立ちと向き合い始めている。また、
これまでの「ゆりかご」の運用の中では、母親の多くが危険を冒し一人で出産して預け入れに来る現状も見えている。慈恵病院は母子の安全な出産を確保したいと2021年に「内密出産」も導入した。慈恵病院が24時間365日対応し、予期せぬ妊娠に苦悩する女性に寄り添う中から生まれた新たな取り組みである。番組では、「ゆりかご」「内密出産」に取り組む慈恵病院の蓮田健理事長、慈恵病院で内密出産を行った女性、そして
「ゆりかご」に預け入れられ成長した10代の少年を取材。少年は「自分の生い立ちを知りたい」と、育ての親とともにこの春、熊本を訪れた。人が生きていくうえで「生い立ち」や「出自」というものがどのような影響を与えるのか、それぞれの当事者の話から解き明かしていくとともに、「ゆりかご」の扉の先にある子どもたちの未来を考える人々の姿に迫る。