ドキュメンタリー/教養

テレビ寺子屋#2391🈐

「戦争の犠牲者はいつも子どもたち」
渡部陽一(戦場カメラマン)

9月28日 土曜 5:30 -6:00 長野放送

テレビ寺子屋#2391🈐

僕は紛争地に暮らす家族、子どもたちと時間を共にして、生活の中で見せてくれる言葉や表情を徐々に写真に残していくことが多いです。一つ屋根の下で触れ合うことで、素の声を聞くことができる。戦場の日常というものがどんなものなのか肌で感じ取ることができるからです。戦場だからどこもかしこも破壊されているわけではなく、一部が破壊されていても、実はその周辺では家族や子どもたちの日常が日々繰り返されているのです。
それぞれの紛争地で戦争に巻き込まれた家族、子どもたちというのは、どんなに厳しい環境の中でも、自分たちの生まれ育った場所、故郷を思い、暮らしています。戦場からどこか遠い場所へ逃げれば大丈夫なのではないか、少しでも戦争がない場所に動けばいいのではないか、確かにいろいろと安全を確保する方法はあるのですが、故郷と大切に向き合い、そこで何百年何千年と暮らしてきている家族の歴史というものが存在しているのです。
お父さん、お母さんが子どもたちに感じる愛情や、子どもたちが両親に感じている温かい思い、これは戦場であっても日本であっても他の国であってもみんな一緒。一つ屋根の下に家族の時間があり、子どもたちの日常があり、お互いが一緒にいる温かい気持ちがある。戦争という悲しみがあったとしても、思いやる寛容の気持ちに溢れている。これは日本から戦場に行くたびにいつも感じている柔らかく優しい、大きな希望の力です。