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ドラマ

🈑<時代劇>隠密奉行 朝比奈 第1シリーズ第9話「近江路、遺書を運ぶ女」

朝比奈は今日も旅空の下。ひそかに、そして大胆に、悪い奴らを斬り伏せる。世はすべて事もなし!

6月21日 金曜 18:00 -19:00 BSフジ・181

「先日来、目安箱に投じられた訴状の一部だ」 土屋相模守は朝比奈の膝の前にたくさんの書状をひろげた。 「近江水口藩がいささか騒がしいようだ」 水口藩では藩主の相続を巡ってごたごたが続いていた。藩主の弟を推す国家老・松永九太夫(小林勝彦)と、幼君を推す江戸家老との間で激しい争いが続き、結局、国家老一派が勝ち、江戸家老一派は粛正されているという。 「そのほうには、
水口藩の様子をつぶさに検分してきてもらいたい」 「我が家では世継ぎ争いの心配はありませんね」 りんは相変わらず無邪気である。そんなりんを、ちょっとからかいたくなったのか、朝比奈は 「さぁて、それはどうかな。わしが家を空けるのは、案外あちこちの我が子に会いに行っているのかも知れないぞ」 「う、嘘ですよね……」 「さ、どうかな」 東海道を下る朝比奈は、
箱根山中で侍の一団に襲われていた大谷多恵(岩本千春)を助けた。だが、多恵は、朝比奈に礼もそこそこ硬い表情で立ち去った。 そして数日後、もうすぐ近江の国に入るというころ、多恵は水口藩の藩士たちに入国を阻止された。朝比奈を負ってきた真鍋はその多恵を助けようとして窮地に追い込まれるが、朝比奈の機転で、その場を切り抜ける。 三人は夜陰に乗じて水口領内に入ったが、多恵は朝比奈にも多くを語らないまま別れた。
そして、翌朝実家を訪ねた多恵は、当主で実兄の伊十郎(伊藤洋三郎)から問答無用で屋敷を追い出された。 途方に暮れる多恵の前に現れたのは弟の新六(丹羽貞仁)であった。 伊十郎は国家老一派に組し、弟の新六は江戸家老に組するという、骨肉の争いであった。 多恵の夫・大谷源左衛門は江戸で、国家老から新たに任命された新しい江戸家老を諌めるために切腹して果てていたのである。 そして、
多恵は源左衛門の殿様に宛てた嘆願書を持って水口にやってきたのだった。 真鍋が、国家老や勘定奉行・今藤(潮哲也)ら藩重役と御用商人の材木問屋や薬種問屋とが結託して不正を働いているらしいという噂を聞き込んできた。 真実を知るために、朝比奈は新六たち藩政に不満を抱く若侍たちの懐に飛び込むことにした――